スタートアップの資金調達!資金調達の種類あれこれまとめVol.2 – 株式発行編 | スタートアップカフェ大阪

起業コラム

2019.09.17

投資

スタートアップの資金調達!資金調達の種類あれこれまとめVol.2 – 株式発行編

こんにちは!スタートアップアフェ大阪コーディネーターの伊藤です。

 

こちらの記事では、資金調達の概要について解説してきましたが、今回の記事はその中で紹介した株式発行による資金調達について更に詳しく掘り下げた内容になります。

 

投資家に株式を買ってもらう形での資金調達はスタートアップの資金調達の花形。

 

注意点としては、当たり前ですが会社の株式を手放すことになるので、どれくらいの金額で何%の株式を手放すのか、の設計が非常に大事になってきます。

以下では、この方法で資金調達を行う時のバリエーションを見ていきましょう。

ベンチャーキャピタル(VC)

VCって?

名前自体は皆さん聞いたことはあると思いますが、実際のところベンチャーキャピタルがどういう仕組みで回ってるかはよく知らない人が多いのでは?

少し資金調達の話とはそれますが、後から述べる株式発行に潜む危険性を理解していただくために必要な前提知識なのでしっかり読んで理解してくださいね。

 

ベンチャーキャピタルのビジネスモデルはすごくざっくり言うと

「多数の投資家から資金を集めてスタートアップ等に投資運用することで資金提供者へのリターンを出しつつ、その一部を報酬としてもらう」

というものです。

ここで伝えたいのは、VCの背後にはお金を出している投資家がいるので、VC自身はその投資家の利益を考えて行動しなければならない、と言うことです。

特に大事なのが、いつまでにリターンを出すか、という期限。

VCはお金を集める時に、「○年間で運用するので○年後にはお預かりしたお金をお返ししますね」という約束をします。この年限を償還期限と言うのですが、これがクセものなんです。。

イグジットって?

ここで少し話は変わりますが、VCはベンチャー・スタートアップに投資をする際にどのように利回りを得るか分かりますか?

スタートアップなので、当然配当による還元は期待できません。

答えは、

“イグジット(EXIT)”

です。

イグジットとは、「買収」や「上場」を指します。

このタイミングで、VCは取得した株式を現金化する機会が提供され、かつ株価が何倍、何十倍にも膨れ上がっているので大きなリターンを得ることができます。

VC投資の注意点

ここまででお話した“償還期限”“イグジット”の2つを踏まえると、VC投資を受ける際の注意点が浮かび上がってきます。

それは、

“VCは償還期限に合わせてスタートアップをイグジットさせるよう働きかけてくる”

というもの。

例えば自分の事業計画上、10年かけて事業を育てていくように計画しているのに償還期限まであと5年しかないVCから投資を受けてしまうと、

事業計画を捻じ曲げて5年でイグジットできるように軌道修正しないといけない、、

なんてことも起こり得るわけです。

もちろん、

・投資を受ける際の企業価値算定(デューデリジェンス)が必要以上に安く見積もられていないか(単純に損します)

・投資を受ける際の企業価値算定(デューデリジェンス)が必要以上に高く見積もられていないか(次の投資を受ける際に株価が高すぎて投資家を探すのが困難になります)

・提示された投資金額と手放すことになる株式の割合は適切か(株は会社の所有権、経営権です。手放す時は慎重に)

なども注意点としてありますが、見落としがちな点としてVCの償還期限というものも意識してみてください。

エンジェル投資家

VCのところが長くなってしまったので、ここからはあっさりと。

エンジェル投資家はVCとは違い、個人の投資家です。

エンジェル投資の注意点

エンジェル投資の注意点は、“エンジェル投資家”と一括りで呼ばれてはいるものの、個人で投資スタイル、投資ポリシーがまちまちであるということ。

自分自身のお金を投じるので、その人の資金力次第で投資金額は変わりますし、VCと同じようにイグジットをシビアに要求する人から、単純にスタートアップを応援する意味合いでイグジットの要求や経営への口出しを全然しない人、自分自身が起業した経験を持ちメンタリングをしてくれる人、様々な人脈を紹介してくれる人、など千差万別です。

“投資してあげるよ”という言葉だけですぐ飛びつくのではなく、その投資家がどういう経歴で、どういう投資ポリシーなのか、本当に信頼できるのか、などをシビアに見極める必要があります。

コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)

昨今様々な大企業が立ち上げているコーポレート・ベンチャーキャピタル。

普通のVCとはどう違うのか、どういう点に注意しなければならないのか。ということを見ていきましょう。

 

VCとの違いで際たるものは、“お金の出し手”が”投資家”ではなく“事業会社”であるという点。

基本的に複数の投資家から資金を集めて運用されるVCと比べて、お金の出し手が事業会社(およびその関連会社)に集中しているため、「会社の業績を上げるため」に投資するという分かりやすい目的で動いています。

事業会社が投資を行う目的は大きく2つに分かれます。

  1. 金銭的リターン目的
  2. 事業同士の相乗効果(シナジー)目的

1の方は、最初に述べたVCと同じような力学で動いているので、ここでは詳細は割愛します。

2の方は、投資先スタートアップが成長することが自社の本業にとってメリットがあるかどうかが投資の決め手となります。

・自社で研究開発しようと思っていた内容をスタートアップに委ねる

・自社でなかなかコストカットできない部分を、当該スタートアップのサービスを使うことで効率化できる

・当該スタートアップのサービスが販路拡大に繋がる

などが2のパターンに含まれるでしょう。

 

CVCの投資目的を2つに分けて書きましたが、実際にははっきりと白黒分かれていることは稀なはずです。

金銭的リターン目的が2割、シナジー目的が8割や、金銭的リターン目的が6割、シナジー目的が4割、など双方を追求しつつもその重みがどちらかに傾いているケースが多いのではないでしょうか?

事業会社から投資を受ける際には、どちらの目的をより重視しているのかを見極めることが後からのトラブルを防ぐことに繋がるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スタートアップ側から見ると、同じお金を投資してくれる、であっても投資する側は全く別の仕組み、考え方で動いているということはザラにあります。

適切な投資を受け、良好な関係を保つために投資側の仕組みや制約を知っておくことは非常に大事だと思っているので、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

それでは。

 


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