起業コラム
2019.10.28
専門用語
資金調達は1回きりでは終わらない!?-「投資ラウンド」ってなんだろう-
こんにちは!
スタートアップカフェ大阪コーディネーターの伊藤です!
起業を考えられている方は、ビジネスモデルや自分の資金状況によっては資金調達を検討されている方も多いと思います。
「株式発行」(株を売って資金を得る)はメジャーな資金調達方法ですが、一般的にこの方法による資金調達は1回きりで終わることはないという事実をご存知ですか?
今回の記事では、
・なぜ資金調達が1回きりで終わらないのか?
・投資の段階を表す投資ラウンドって?
・各ラウンドについての説明
をしていきます。
資金調達を検討するにあたって、スタートアップ側に抜けがちな「投資家の目線」を勉強しておくことで交渉がよりスムーズに進むことも多いので、ぜひ最後までご覧ください!!
資金調達については過去の記事でも一通り解説しているので、興味がある方は下記もご覧いただければと思います。
もし資金調達が1回きりだったら
投資ラウンドの説明をする前に、まず「なんで資金調達が1回きりで終わらないのか?」を考えてみましょう。
投資する側の目線で考えてみましょう。
例えば目の前の起業家が「A社はこんなビジョンを持っていて、こういう事業をやろうと思ってるんです!実績はないですけど、事業を進めるのに5,000万円必要なので投資してください!!」と頼んできたらどうでしょう?
怖くてとても投資できないですよね?
仮にA社のビジネスモデルがとても優れていて、代表の人柄が魅力的だったとしても「まずは500万円投資するからそれでここまで事業を進めてみてよ。うまくいってそうだったらその段階で追加で投資してあげるから」となりませんか?
あるいは別のパターンとしては、投資家がVCだった場合「ファンドの償還期限があと2年しかない」とかの場合はどれだけ魅力的な起業家、事業モデルをプレゼンされてもイグジットまでに5年、10年かかりますと言われたら投資できないですよね?
こういう投資家にとっては上記のような「これから事業をやります!」という企業ではなく、「ある程度事業が回っていて、数年以内にM&A/上場をしたい」というB社が投資対象となるはずです。
(償還期限って?とかVCってそもそもどんな仕組みで動いてるの?という方はこちらをご覧ください↓↓)
さらに別のパターンとして、投資家のリスクに対する考え方による投資スタイルの違いが挙げられます。
どんどんリスクを負っていって、大きなリターンを得たい投資家はA社に投資したいと思うかもしれませんし、
あまりリスクは負わずに小さなリターンを積み重ねていきたい投資家はB社に投資したいかもしれません。
このように、投資家の考え方や状況によってどのステージにある企業に投資したいかは異なるので、下記に述べる5つの段階に便宜的に分け、それに「投資ラウンド」という名前をつけているわけです。
投資ラウンドって?
では「投資の段階を定義する」投資ラウンドを具体的に見ていきましょう。
投資ラウンドは下の表のように定義されることが一般的です。
投資ラウンド | スタートアップの段階 |
シード | 起業前、アイデア段階 |
アーリー | 起業直後、アイデアを形にするために活動を始める段階 |
シリーズA | 事業を本格的に開始していく段階 |
シリーズB | 事業が軌道に乗り始める段階 |
シリーズC | 経営が安定し、イグジットに向けて準備をする段階 |
ただ、上記は一般的というだけで必ずしも全てのスタートアップが全ラウンドにおいて資金調達をしてイグジットをするわけではありません。
アーリーステージくらいまでは自己資金だけでやれるところもあるでしょうし、シリーズBあたりでイグジットしてしまうケースもあります。
あくまで知識として押さえておいた上で、自社の状況に合わせて資金調達の流れを設計していくことが肝要になってきます。
※投資ラウンドという言葉は、多くの場合「投資先に上場を要求する」ような投資家が使うものになります。この後「数億円の資金調達」など刺激的なワードが飛び交いますが、最終的に上場するスタートアップのケースに限っての話として読んでいただければと思います。
各ラウンドのポイント
先ほどの表では各ラウンドをざっくりとしか説明していないので、ここから少しだけ詳細を見ていきましょう。自分が今いるラウンドとその次のラウンドあたりを見ておいたら良いかと思います。
シード
“起業前、アイデア段階”
まだ事業がスタートする前の段階です。
この時点での調達は、法人設立、環境整備、プロトタイプ作成などに資金を充てる場合が多く、調達金額は数十万~数百万円程度になる場合が多いです。
投資家にアピールできるものが、ビジョン、ビジネスプラン、自分自身、チームくらいしかないのでビジネスプランの実現可能性と自分やチームの情熱を投資家にいかに伝えられるかが鍵になってくるでしょう。
アーリー
“起業直後、アイデアを形にするために活動を始める段階”
法人を設立し、事業を開始するための様々な準備を進めていく段階です。この段階ではプロトタイプの改良、MVP検証などに資金を充てる場合が多く、調達規模としては数百万〜数千万円程度です。
この段階になると株式発行以外の方法による資金調達の選択肢、可能性が増えてきます。
特に政策金融公庫の新創業融資制度、各種補助金・助成金などは活用を検討してみると良いかと思います!
上記については、下記記事も参考にしてみてくださいね。
シリーズA
“事業を本格的に開始していく段階”
サービス・商品の検証が終わり、いよいよ本格的に事業を開始していく段階です。マーケット(消費者)に刺さるサービス・商品を提供し実際に売り上げが立ち始める段階なので比較的資金調達もしやすくなっている場合が多いです。
より成長を加速させるために、営業を増強する、マーケティング・広告に力を入れるなどの資金の使用が想定され、数千万〜1億円程度の調達のケースが多いようです。
シリーズB
“事業が軌道に乗り始める段階”
事業が加速し、売り上げ規模がどんどん拡大していく段階です。この段階では更なる売り上げを目指しつつ、イグジットに向けて社内体制を整え始める企業も少なくないようです。
事業の横展開や、外部からスペシャリストを採用することなどに資金を充てることが想定され、1~数億円程度を複数の投資家から調達するケースが多いように思います。
シリーズC
“経営が安定し、イグジットに向けて準備をする段階”
イグジットに向けての最終準備を進めていく段階です。売り上げだけでなく利益をきちんと残す、上場監査に耐えられるように内部統制を強めていくことが重要視されてきます。
この段階は調達金額やその使い途などはイグジットまでの距離感によって様々なので一概には言えませんが、数億〜数十億円の出資が成される場合もあります。
最後に
以上、駆け足で投資ラウンドについて見てきましたが、特にスタートアップにとってシリーズB以降などは全く想像がつかないと思いますし、そこについて具体的に研究を進める必要もあまりないと筆者は思っています。
スタートアップのうちは、
・投資ラウンドというものが存在していること
・自社がどのラウンドにいるのか把握すること
・次のラウンドに進むために必要なものを見極め(資金に限らず)、きちんと計画を立てられること
ができていれば十分かと思います。
資金調達についてお悩みのことなどがありましたら、スタートアップカフェ大阪で相談に乗ることもできるので是非お越しいただければと思います。
それでは!
【スタートアップカフェ大阪コーディネーター】
普段は建築業界のIT化に向けた活動をしています。
得意な相談ジャンルはwebサービス系/プロダクト系(その他ジャンルももちろんOK)
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