日本の小さな下着メーカーが、世界の一流に愛されるブランドに成長出来た理由(ワケ) | スタートアップカフェ大阪

イベントレポート

2019.04.22

日本の小さな下着メーカーが、世界の一流に愛されるブランドに成長出来た理由(ワケ)


ログイン株式会社 代表取締役社長 野木志郎(のぎ しろう) 氏

1960年、大阪府高槻市生まれ。立命館大学法学部法学科卒業。87年株式会社千趣会入社。

新商品、新規事業を中心に担当する。2002年に父親の会社「ユニオン野木」へ。

その後「包帯パンツ」を開発し、2006年にログイン株式会社を設立して独立する。

包帯パンツは19年1月現在、世界で130万枚を売上げ、世界的なシェフ・松久信幸(NOBU)氏やロバート・デ・ニーロ氏など、国内外の著名人にも多くのファンを持つ。

今回は、野木さんが「日本の小さなパンツ屋が世界の一流に愛される理由(ワケ)」の書籍出版をきっかけにスタートアップカフェ大阪にてイベント開催することになりました。

世界で活躍する「包帯パンツ」

野木さんのキャラクターと持ち前のトークで、和気藹々とした雰囲気の中、イベントが始まりました。

世界で愛される「包帯パンツ」

あのマドンナに認められた包帯パンツ

包帯パンツを販売していたある日、会社に一本の電話が入りました。女性社員が慌てて私に「社長!マドンナです!!」と飛んで来たんです。

電話を代わってみると、どうやらマドンナさんのチーフデザイナーの日本人助手だそうで、マドンナさんのワールドツアーで使われるパンツの候補に包帯パンツが候補に挙がっているとの連絡でした。

どうやら海外向けに「サムライアンダーウェア」という名前で売っていた甲冑パンツ(包帯パンツ)が検索に引っ掛かり、目に留まったそうです。

「本当にあのマドンナなのか?」と疑いながらもサンプルを送ったところ、採用されたとの連絡が入りました。

そこで、マドンナのバックダンサーが履く用に55枚パンツを送ってほしい。と言われ、クレジットカードの番号を教えられたのですが、「料金は結構です。プレゼントします。その代わりに包帯パンツを使っている写真を1枚ください。」と言いました。

マネジメント担当に確認して頂きOKをもらい、そこから製造に掛かりました。

そうしてワールドツアーが開催され、自分の作った包帯パンツが本当に使われているのかが気になってYouTubeでずっと検索していました。

2週間ほど探して、ついに自分が作った包帯パンツが写っている動画を見つけて大喜びしました。

しかし、マドンナさんから写真は届かず、こちらから連絡しても繋がりませんでした。

そんな中、ツアーは好評でアジアツアーが決定、日本にも来日することが決まったんです。

そこで「これはマドンナに直接会いにいったろう!」と思っていると、ライブ前日にマネジメント担当から連絡がありました。

当日はVIP待遇で招かれ、ライブ開催30分前にステージ下の控え室に連れて行かれました。

そこには自分が作った包帯パンツが飾られていたんです。

それを見て感動した瞬間は今でも忘れられません。

包帯パンツができるまで

世界で認められる包帯パンツは一体どのようにして誕生したのか?

ここからは包帯パンツの誕生秘話について語って頂きました。

初めはレディースのショーツを作っている会社だった!?

サラリーマンを辞め、父親の会社で働き始めましたが、そこはレディースのショーツを扱っている会社でした。

レディース物なこともあって、細かく触って研究するのも難しかったです。(笑)

パンツに関しては素人な事もあったので、ここは素人の強みを生かしてやりたいものをやろうと思い、スポーツマン向けのパンツの開発に挑戦しました。

そうと決まれば百貨店にパンツを買いに行き、百貨店中のパンツを履き尽くしたら今度は海外に行きパンツを履き。。。という生活を送っていました。

中々ヒントが見つからなかったのですが、たまたまロサンゼルスのアウトレットで見つけた当時はまだ少なかった無縫製の伸縮性のあるパンツを持った時「これや!!」と確信しました。

早速ホテルに帰ってそのパンツを履きランニングしてみると、汗でベチョベチョになり、最悪の履き心地になってしまいました。

そこで問題は「汗」だという事に気付き、日本に帰国後、今まで買い集めたパンツを全て履き直し、とにかく汗をかいてみる事にしたんです。

試している中で汗に対しての素材の良い悪いが分かるようになってきたのですが、繊維の問題で躓いてしまいどうしようも無くなってしまったんです。

もう諦めようかと思ったのですが、その時父親が手に持って来て提案してくれたのが包帯でした。

そこからパンツ用の包帯を作ってくれるところを探すのに4年かかり、パンツの形にするのに2年もの時間が掛かりました。

これだけ時間をかけた商品だったら絶対に売れる!と思っていましたが、発売から1週間で45枚しか売れませんでした。

自分の「熱意」を剥き出しにし過ぎていた

そこで得た反省は「相手のことを考えずゴリ押しばかりしていた」という事でした。

振り返ってみると、相手が引くくらいの熱意で売り込んでいました。

情熱を持つのは大事だが、自己顕示欲が強いと捉えられてしまうので、相手に引かれてしまう。

相手のことを一番に考えるのが大事。それに気づいてからは相手の立場になって考える癖を付けましたね。

だから自分の場合は「情熱は内に秘めてコツコツやる」ことを意識しました。

商標で包帯パンツを守った

基本的に一般的な単語をを掛け合わせた商品名は知的財産になりにくいんです。

でも、どうしても「包帯パンツ」として登録したかった。

だから私は2年かけて、Webなどでプレスを出しまくり、なんとかして商標を取りました。

商標を取る事で大きかったのは大手企業が参入して来なくなる事です。

例えば「包帯パンツ」で言えば、他の会社が全く同じ商品を開発しても「包帯パンツ」として世に売り出すことができないので、お客様に価値を理解してもらえないんですね。

現在、45もの商標を持っているんですが、ポイントはいかに大きい枠のキーワードで商標を取れるかという事だと思います。

申請費用12,000円で自分のビジネスを守れるんですからこれは絶対にやった方がいいです。

最後に

パンツを売るために人を紹介して欲しいとお願いしたことはありません。

本当に作った商品が良いもので、本当に信頼関係があれば逆に何も言わなくても紹介してくれるようになりました。

信頼を作るのには時間がかかるが、後に大きなものが帰ってくる。

その為に、普段から誠実にコツコツと努力するしかない。

包帯パンツはこれからも挑戦を続けます。

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