起業コラム
2020.08.12
ブロックチェーンで広がるビジネスチャンスとは?
みなさんこんにちは。
スタートアップカフェ大阪コーディネーターの小谷です。
今回は前回の「5G」「AI」に引き続き、ブロックチェーンを使って広がるビジネスチャンスについて見ていきたいと思います。
前回の「5Gで広がるビジネスチャンスとは?」「AIで広がるビジネスチャンスとは?」も是非ご覧ください。
そもそもブロックチェーンって?
2018年頃に「ブロックチェーンは革命的な技術だ!」と大きく報道されてましたよね。
果たして本当に革命的な技術なのか、ブロックチェーンとは何かを見ていきましょう。
ブロックチェーンと聞くとブロックがチェーン状に連なっているのを連想すると思いますが、
全くイメージ通りとして考えてもらって大丈夫です。
まず、一連のデータの情報があるとします(お金のやり取り、書類のやり取り、メッセージのやり取りなど、時系列とデータが結びついているものです)。
まず一つ一つのデータ(トランザクション)のハッシュ関数(データから別(多くの場合は短い固定長)の値を得るための関数)を取り出します。
TXとはトランザクションデータのことを指します。
さらにその前後に発生したハッシュ関数を合わせたハッシュ関数をツリー状に生成していきます。
最終的に生成された一つのハッシュ関数をブロックであり、それらをチェーン状に結びつけることで、ブロックチェーンとなります。
[出典] https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/16/062400138/070800003/
これにより、一体どんなメリットがあるのでしょう?
ブロックチェーンが画期的だと言われる理由には、以下の特徴があります。
データの改ざんができない
ブロックチェーンはハッシュ関数をかけ合わせていった一連の繋がりであることから、
途中のデータを改ざんすると一連のデータに不都合が生じ、改ざんされたことがすぐにわかります。
このメリットを活かし、例えば個人情報やお金のやり取りなど、データの信用性を担保する必要がある場合に非常に有用なのです。
中央集権型ではないので管理者が不要
データの改ざんができないとしても、データを管理している管理者が改ざんしたかどうかは判別できません。
そのため、全世界の人に同じデータを持ってもらい、データが改ざんされていないことを監視し合うのです。
複数の人が同時に改ざんすれば正当性を主張できるかもしれませんが、全く同じタイミングで全世界の人が同時に改ざんするのは不可能に近く、現実的ではありません。
個々人が結びつくだけで今までの中央集権型から脱却できるというのは、今までの社会構造を大きく変える可能性があると言われています。
新規参入でも信頼性の高い組織を作ることができる
従来の信頼というのは新規参入ではなかなか築きにくく、長年の実績などが信頼に繋がることがほとんどでした。
しかし、ブロックチェーンという仕組みを使えば信頼性の高いプラットフォームをすぐに構築できることから、新規参入の敷居を下げることができます。
ブロックチェーンでできることは?
ブロックチェーンでできることは、大きく3つあります。
- トレーサビリティ
- データ管理を分散させ、統一する
- データの証明
トレーサビリティ
トレーサビリティとは追跡可能性という意味です。今ある情報から、過去まで遡ることができることができるかですね。
ブロックチェーンは過去のデータから1つも抜けることなく繋がっているので、最新のデータから遡ることができます。
それにより、例えば食品の生産工程を追跡することができます。
今までは生産工程がバラバラに管理されていたため一連性を担保することができず、改ざんされることもありました。
ブロックチェーンを使用すると食品の生産場所などを偽ることができないため、その商品の価値を高められます。
データ管理を分散させ、統一する
ブロックチェーンはデータの管理が中央集権型ではないため、データを分散させることができます。
それにより、たとえば証明書発行にわざわざ役所に行かなくても済むといったメリットがあります。
また、今まで連携していなかったデータがブロックチェーンという方法で連携するので、
様々なデータをかけ合わせた最適化ができると言われています。
たとえば、今まで別々のシステムで管理されていたものをまとめて、最適化するといったものです。
データの証明
今まで以上にデータが改ざんされていないことを証明しやすくなります。
たとえば、個人情報の証明書や、冠婚葬祭で使われる証明書、著作権などの証明書をブロックチェーン化することで、
信頼性の高い証明書を発行することができます。
ブロックチェーンの事業開発で大事なことは?
ブロックチェーンでさまざまなことが考えられていますが、実際にブロックチェーンを使った事業をするうえで何に気をつけるべきなのかをまとめてみました。
ブロックチェーンはまだ不完全な技術
ブロックチェーンは、データを改ざんできないという新しい概念なのですが、
一方でいろいろと問題を抱えています。
メリットがある一方、デメリットもきちんと把握しておきましょう。
・悪意のある人が参加してしまうと、排除することができない
・管理者であってもデータを修正することができない
・計算速度が遅い
ブロックチェーンを扱う上では上記のような問題があり、現状は解決策がありません。
特に深刻な問題だと言われているのが、悪意のあるユーザーを排除できないということ。
ブロックチェーンは管理者がいないため、すべて多数決で次のブロックが決められます。
そのため、立ち上げ当初の参加者が少ない時に、悪意のあるユーザーに多数決で乗っ取られてしまったという被害もあります。
ブロックチェーン × ◯◯、成長するのはどの分野?
ではこれからブロックチェーンとどのような分野が結びつくと成長が見込めるのでしょうか。
もしかしたらここにビジネスヒントが隠されているかもしれません。
1. ブロックチェーン × 証明書
一番ブロックチェーンと相性が良いといえば改ざんされていないことが最も重要である「証明書」でしょう。
Microsoftは個人情報をブロックチェーン化するプロジェクト「ID2020」を推し進めています。
スーパー最大手のウォルマートは、食品の製造元を偽装できないよう商品ごとにブロックチェーンを使用したり、商品が送られてくるまでの状態をブロックチェーンに記録する「スマート・パッケージ」というサービスを展開しています。
配送中に商品にかかった物理的な衝撃がブロックチェーン上に記録されるため、大事な商品を雑に扱われていないかがわかるそうです。
また、SONYは著作権にブロックチェーンを使用し、その著作権がちゃんと保護されていることを証明しようとしています。
2. ブロックチェーン × 契約
こちらも1.の証明書と被るかもしれませんが、法的な契約にブロックチェーンを利用しようという動きがあります。
OpenLawと呼ばれるサービスは、雇用契約や不動産契約などの契約をブロックチェーン上で実装するサービスです。
弁護士などを仲介せずに契約できるというのは驚きの仕組みです。
さらに、従来の紙や電子での契約(オフチェーンの契約)とブロックチェーンの契約を結ぶサービスを提供するスタートアップが出てきました。
その名も、ChainLink。
今までの非ブロックチェーンの時代と、これからのブロックチェーンの時代の間を担保することに事業価値を見出しています。
3. ブロックチェーン × 資金調達
ブロックチェーンとクラウドファンディングをかけ合わせ、資金調達をする際の手間を省こうというサービスがあります。
Starbaseはプロジェクト毎に独自の通貨を発行し、その通貨を買うことで資金調達をすることができるという仕組みになっています。
4. ブロックチェーン × インフラ
最後は少し規模が大きい話ですが、国家戦略としてブロックチェーンを活用しようという動きもあります。
IT先進国であるエストニアでは、法人登記や課税システム、証券取引所などにブロックチェーンを既に活用しており、
個人に割り振られたID(e-id)から個人情報、病院のカルテ情報など、様々な情報にアクセスすることができます。
ブロックチェーン技術が使われているので、情報が改ざんされるという心配もありません。
ブロックチェーンはアイデアがあっての手段
さて、ブロックチェーンの仕組みや事例について見てきましたが、いかがでしたか?
ブロックチェーンはあくまで手段であるため、ブロックチェーンを使うために事業を立ち上げるのはナンセンスです。
まずは解決したい課題を見つけ、それを解決するためにブロックチェーンを使うようにしましょう。
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