起業コラム
2020.01.11
会社設立
あなたに最適な会社の作り方は!?-法人形態徹底解説-
こんにちは!
スタートアップカフェ大阪コーディネーターの伊藤です!
今日の記事も、起業相談に乗っているとよく質問を受ける内容をテーマにしてみました。
その質問というのが、
“起業したいんですけど、株式会社と合同会社ってどっちの方が良いんですかね?”
というもの。
株式会社や合同会社はよく耳にすることもあるかと思いますが、実は法人形態は他にもまだまだたくさんあって、それぞれにメリット・デメリット、向いている業種・向いていない業種があります。
そんなわけで、今日は起業する際の法人形態の選択肢とそれぞれの特徴を徹底的に解説していきたいと思います!!
※起業する際の選択肢は法人設立以外にもあります!詳しくはこちら↓
法人形態の一覧
まずは表を使ってざっと全体像を見ていきましょう。
下の表に上げているように、法人は大きく2つのグループに分かれ、具体的には9つの形態に分類することができます。
分類 | 名称 |
営利法人 | 株式会社 |
合同会社 | |
合名会社 | |
合資会社 | |
非営利法人 | 一般社団法人 |
一般財団法人 | |
公益社団法人 | |
公益財団法人 | |
NPO法人 |
営利法人と非営利法人の違いを理解しよう
利益分配について
上の表で、大きな分類として書かれている「営利法人」と「非営利法人」。
これらの違いをまず正しく理解することが重要です。(正しく理解していないがために、非営利法人をはなから選択肢に含めないで考えてしまう人が多いので。。。)
よくある勘違いが、
“非営利法人にしたら給料がもらえないんじゃないか?”
というもの。
営利/非営利で区別しているのはその法人の利益分配の方法です。
売上の分配ではなく、利益の分配です。
利益とは売上から役員報酬や人件費、その他経費を差し引いた残りのことですから、役員報酬や人件費についての制限があるわけではないんです。
非営利法人でも自由に人件費を出すことはできます。
では、利益分配ってなんでしょうか?
それはズバリ配当のことです。
営利法人の場合、利益を配当という形で出資者に還元することができる一方、
非営利法人の場合は出資者に配当することができず、事業に再投資しなければいけない。
毎年毎年の利益分配だけでなく、事業解散のときも同じルールが適用されます。
営利法人の場合、解散時の残余財産は出資者に分配されますが、非営利法人では原則として残余財産を特定の個人が受け取ることができません。
非営利法人の残余財産は国や地方公共団体、あるいは他の非営利団体に譲渡することになっているのです。
非営利法人のメリット
先ほどの話はどちらかというと非営利法人に課せられた制限の話でしたが、逆に非営利法人ならではのメリットもあります。
まず1つは、社会的信用、イメージが良くなるということ。
「非営利」と聞くとクリーンなイメージを抱いてもらいやすく、より幅広い層のファンを作りやすい傾向があります。
そしてもう1つが税制面での優遇。
非営利法人は収益事業に対しては営利法人と同様に課税されますが、それ以外の所得に対しては課税が免除される場合があります。(この辺りの詳細は、具体的な法人形態によっても変わってくるのでここでは割愛します。)
法人形態の途中変更
法人形態は営利法人の括りの中、非営利法人の括りの中でなら変更が可能です。
(ただし、後述するように非営利法人の中でも社団法人⇄財団法人の変更はその性質の違いから原則できません)
ですが、営利法人⇄非営利法人の変更はできないことになっています。
ですので、ここまでの内容を踏まえてどちらの法人形態を選択するかは慎重に判断するようにしてください。
ここまでは法人形態の大きな括りの話だったので、ここからは個別の法人形態についてももう少し詳しく見ていくことにします。
営利法人
株式会社と合同会社の違い
冒頭でも書いた通り、一番質問の多いこの2つの法人形態。その違いはどこにあるんでしょう?
以下に主要な違いを表にまとめてみました。
株式会社 | 合同会社 | |
利益分配 | 出資比率に応じて | 定款で分配比率を自由に決めることができる |
決算公告の義務 | 有り | 無し |
設立時コスト | 20~30万程度 | 6万~10万程度 |
意識しておくべき違いとしては、
・株式会社の方が投資した側へのリターンが明確に規定されているため、資金調達がしやすい
・合同会社の方が機動力が高く、身軽に動きやすい
ということ。
基本的には、将来的にその法人をどの程度大きくしていきたいか、に合わせて判断をすれば良いかと思います。
また、先ほども述べたように設立後に合同会社から株式会社に変更することもできるので、
設立時は低リスクでスピーディーに動きやすい合同会社で始めて、事業が軌道に乗ってきて大きくしていくフェーズになったら株式会社に転換する、ということも可能です。
合名会社と合資会社
あまり耳馴染みがないかもしれませんが、営利法人の中には「合名会社」「合資会社」というものも有ります。
株式会社・合同会社との大きな違いは出資者の責任範囲です。
株式会社・合同会社は出資者は出資した範囲内の責任しか負いません。例えば会社が倒産した時には出資したお金は戻ってきませんが、それ以上の債務を負うことはないということです。
一方で合名会社・合資会社は無限責任が発生する法人形態なので、多額の借金を抱えたまま会社が倒産してしまった場合、自分が出資した金額以上の債務を負ってしまうリスクがあります。
かなりリスクが高く、明確なメリットもないため基本的に利用する機会はありません。
非営利法人
一般法人と公益法人の違い
一般社団法人/一般財団法人/公益社団法人/公益財団法人
これら4形態の頭についている「一般」「公益」ってなんでしょう?
名前からもなんとなく想像がつくかもしれませんが、設立に特に条件等がないのが一般法人で、登記するだけで設立することができます。
一方で公益法人は、公益目的事業の比率が50%以上などの条件を満たした上で申請、行政からの認可を受けることで資格が得られる法人形態になります。
ですので、この二者については自分で決められる、というより事業内容によって変わってくるものになります。条件を満たせそうであれば、申請を出して公益法人としての認可を受けられるよう挑戦してみると良いでしょう。
社団法人と財団法人の違い
では次に「社団」「財団」の違いを見てみましょう。
社団法人…一定の目的のもとに集う「人」から成り立ち、1つの社会的存在として行動する法人
財団法人…一定の目的のもとに拠出された「財産」の集まりで、その財産の運用を目的とする法人
上の説明からも分かるように、財団法人は財産の管理運用を目的としているものなので起業を考える際には選択肢に入れる必要はなさそうですね。
NPO法人って?
最後に、もう1つよく聞く非営利法人の形態としてNPO法人というものがあります。
一般社団法人との比較で見てみましょう。
NPO法人 | 一般社団法人 | |
活動内容の制限 | 法で定められた20種の活動に制限 | 制限無し |
設立にかかる期間 | 4~5ヶ月 | 1週間~1ヶ月 |
設立にかかる費用 | 0円 | 11万円~ |
情報公開義務 | 有り | 無し |
税制面での優遇 | 有り | 場合によって、部分的に有り |
一番大きな違いは、一番最初に挙げた活動内容への制限です。
NPO法人に許された活動は下記にまとめた20種に限定されています。
- 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
- 社会教育の推進を図る活動
- まちづくりの推進を図る活動
- 観光の振興を図る活動
- 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
- 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
- 環境の保全を図る活動
- 災害救援活動
- 地域安全活動
- 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
- 国際協力の活動
- 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
- 子どもの健全育成を図る活動
- 情報化社会の発展を図る活動
- 科学技術の振興を図る活動
- 経済活動の活性化を図る活動
- 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
- 消費者の保護を図る活動
- 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
- 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
上記活動内容以外の活動を目的とする場合はNPO法人になることはできません。
またNPOは設立にかかる要件が煩雑で、手続きの量もかかる時間も一般社団法人よりも遥かに多くなります。
その分、設立に際して費用がかからなかったり、様々な面で税制優遇を受けることができたり、と言ったメリットがあります。
また、一般法人に対しての公益法人と同じように、より厳しい関門をくぐり抜けて設立された法人ということで一般法人と比較してより社会的信用も得やすい法人形態になります。
社団法人にするかNPO法人にするかは、
- まず活動内容が上記20種に含まれるかを確認した上で、
- 両者のメリット・デメリットを天秤にかけて判断する
という2ステップで考えると良いかと思います。
まとめ
結構情報量が多くなってしまったので、改めて要点をまとめておくと、
・営利法人/非営利法人は後から変更がきかないので設立時点で慎重に判断すること
・営利法人の場合の主要な選択肢は株式会社/合同会社の2つで、会社(事業)をどのように成長させたいかで決めるのが良い(合同会社→株式会社への変更は後からでも可能)
・非営利法人の場合の一番一般的な選択肢は一般社団法人
・条件を満たせそうな場合、公益社団法人への申請やNPO法人としての設立も視野に入れて検討するのが良い(条件を満たしているからと言って必ずしもそうしなければならないわけではありません)
と言った感じでしょうか。
ちょっと情報量が多くて整理できない、、
そうは言っても自分が考えているビジネスモデルに最適なのがどれなのか判断が難しい、、
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