起業家インタビュー
2019.01.28
連続起業
『守るべきものを守りながら戦う』もし家入一真が今、20代だったら
22歳で株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を創業し、「BASE株式会社」の共同創業取締役であり、現在は日本最大級のクラウドファンディングプラットフォームを運営する株式会社CAMPFIREの代表取締役として活躍されている連続起業家、家入一真氏
“現代の若者たちの駆け込み寺”である「リバ邸」や、次世代を代表する起業家育成を手がけるベンチャーキャピタル「NOW」の設立等、若き才能を支援する活動にも積極的に取り組まれている家入一真氏に、今回は10代20代の起業家視点でインタビューをさせていただきました。
時代に関係なく、身近な誰かのために
ー 家入さんは22歳で起業されましたが、もし今、家入さんが20代でこれから起業を志す場合、何から始められますか?
僕の場合やることは今も昔も、あまり変わらないんじゃないかと思います。
僕が最初に起業したのが22歳の時に作った株式会社paperboy&co.)という会社なんですが、その当時いきなり大きな夢や野望を抱いていたわけではありません。
どちらかというと、インターネットが普及していく中で「ホームページをもっと安く作れるようになれば、より多くの人が自己表現をしやすくなるだろうな」と思っていました。
僕がビジネスを作る時に大切にしていることは、「身近な人の顔を思い浮かべて、手紙を書くようにビジネスを作る」ことです。この考えは今も昔も全然変わっていないです。
だから、もし僕が今20代だったとしても「こういったモノを作ればあいつが喜びそうだな」とか「この前あいつが困ってたし、こういうサービスを作れば使ってくれるかな」という想いで事業を始めると思います。
下がる敷居、増えるライバル
ー 家入さんは「今」の時代をどのように捉えておられますか?
今の日本は豊かさは実現したものの、その先は描けていないという意味で課題をすごく持っていると思います。
例えば少子高齢化もそうですし、人口減少が進むことで、長期的には経済は小さくならざるを得ないと考えています。
今の時代は、これまでのように就職したから安全というわけでなくて、自分で稼いでいくことや、自分の人生のオーナーシップを取ることが重要だと思っています。
その一つの手段が起業だと思いますし、起業といっても【大きな会社を作って雇用を生むこと】も【1人で複数の仕事をしながら生きていくこと】も起業です。色んな起業の形があって良いと思っています。
現代社会では起業が身近になってきて、それ自身はすごく良いことだと思います。
一方で、僕が起業した時と大きく違うのは起業という選択肢が“カジュアル”になりすぎていて、ITやフィンテックなど、ある特定の分野の中で起業する場合、昔より圧倒的にライバルが多くなっているので生き残っていくのが大変だとは思います。
高い解像度で人生を見つめる
ー 家入さんは多くの起業家を見てきたと思うのですが、起業家にとって欠かせない資質や必要な能力はありますか?
これはあくまで“僕は”という意味ですが「原体験」を持っているということを大切にしています。
自分自身がいじめに合っていたから、いじめに合っている人のためのサービスを作るとか。
その人にしかできない起業というのが好きです。
もちろん必ずしも原体験がないといけないという訳ではなくて。
こういった話をすると「自分には原体験がないから起業できない」という意見もありますが、それは実は解像度が低いだけで原体験がない訳ではないと思っています。
強力な原体験がなくても、朝起きて、学校へ行って、ご飯を食べて、寝る。
24時間の中で、もっともっと解像度を高めて自分自身の一日を五感を使って感じることで、「使いづらいモノ」や「生きづらいこと」、なんでこうなっているんだ?という「不満」や「怒り」みたいなものって沢山あると思っています。
ただ、多くの人はそういった事に気付かず、「面倒だな、不便だな」で終わらせてしまっていると思うので、もっとそこにフォーカスして解像度を高めれば、原体験になりうるものは沢山あるはずです。
いじめに合ったや、家庭が貧しかったなど、わかりやすい原体験でなくても、解像度を上げて敏感になることで、自分自身が抱えている生きづらさみたいなものに気付けるので、その気持ちを大切にして欲しいです。
守るべきものを守りながら戦う
ー 最後にこれまでも多くの事業を立ち上げられている家入さんですが、重要な決断をされるときに大事にされていることはありますか?
0と1では考えないというところですね。
日本人の美学みたいなものと結びついているのかもしれないのですが、「何かを選ぶ時には、それ以外の事を諦めなければいけない」と思い込むことがあるじゃないですか。
例えば、起業するから就職を諦めたり、就職をするから起業を諦めたり。
起業をするから趣味のギターを辞めたり、逆にギター一本で生きていくために仕事を辞めたり。
日本人は決断をする時に0か1で物事を考えてしまいがちですが、僕はそれは思考停止だと思っています。
もちろんそういった局面はありますが、どちらも選択できるケースもあるのに、どちらかを捨てることを美学のように捉える人が多いように感じています。
本当にその決断において捨てなければいけないものはあるのか、何故捨てる必要があるのか。頭を使って考えることが大切だと思っています。
「起業したから会社を辞めました!」という報告を受けても「いやいやいや」と思うこともありますし、ましてや家族がいる場合だったらどうするの?と思うこともあります。
“ 守るべきものを守りながら戦うやり方 ” をちゃんと頭を使って考えないで、ただリスクだけとって挑戦するというのは無謀だなとも思います。
会社員であれば平日の夜や土日を使ってはじめて、軌道に乗ってきたら会社を辞めてもいい訳で。
0か1かじゃなくて、0と1の間をグラデーションのように頭を使って考えていくことが大事だなと思っています。
ー 家入さん、お忙しい中ありがとうございました。
まとめ
今回は家入一真氏にインタビューさせていただき、10代20代で起業家を目指す人にとって重要なキーワードをいくつか頂きました。
中でも『守るべきものを守りながら戦う』という姿勢は、全てを捨てて挑むより思考を巡らせる必要があるかもしれませんが、誰でも起業を選べる時代だからこそ重要になるのかもしれません。
今後もSTARTUP CAFE JOURNALでは起業家に20代目線でのインタビューをしていきますので、更新情報をお求めの方は是非ツイッターやFacebookでチェックしてみてください。
またスタートアップカフェ大阪では起業の相談も常に受け付けておりますので、是非気軽にご活用ください。
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