起業家インタビュー
2020.02.17
『安心できる環境があるから、チャレンジできる』張本 舜奎、起業のリアル
張本 舜奎(ハリモトシュンケイ)(25)ー
2017年に7ヶ月間働いた東京のベンチャー企業を退職。
退職後、学生の頃から関心のあった「人の集団(コミュニティ)」の分野に取り組むべく、コミュニティ運営のサポートを行う。
その後水口氏と出会い、2019年6月1日『LINDA HOSTEL 106(テンロク)』を共同創業。
仕事について
ー 現在はどういったお仕事をされているのですか?
LINDA HOSTEL 106という、「人とつながるがる、世界が広がる」ホステルをやっています。
その中でも、ホステル・カフェ&バー・イベント・アクティビティの4つの事業があって、僕が担当しているのカフェ&バーとイベントの2つです。
ホステルでは受付や観光案内が多く、カフェ&バーでは宿泊するお客さんや地域の方とホステルの1階にあるカウンターでの交流がメインとなります。
イベントでは、主宰する場合は「人とつながる」と「世界が広がる」をテーマに国際交流や色々な働き方の人が関われるものを開催しています。場所代なしでの場所貸しも頻繁にしていて、どんな人でも小さくチャレンジできる環境を整えています。
ー 「LINDA HOSTEL 106」とはどんなホステルなんでしょうか?
LINDA HOSTEL 106は、昨年2019年6月から開業した、人とつながる、世界が広がる宿泊施設です。
ホステルには3部屋あり、合計でベット数は40。様々な国や地域からきたゲストが一つの部屋に宿泊する形です。その他にも共同のラウンジやシャワールーム、女性専用の部屋があり、個室を用意しないでゲスト同士が一緒に生活することを大切にしています。
1階バーで笑い合う利用者のみなさん
「人とつながる、世界が広がる」のコンセプトのもと、LINDA HOSTEL 106には宿泊するゲストやバーに来た地域の人、イベントに参加した若者たちが集まり、ゲスト同士だけではなく国籍や年齢、性別や働き方などあらゆる違いを超えて交流できる場を創りたく日々営業しています。
起業のきっかけ
ー 起業を考えるきっかけは何かありましたか?
個人的なところからお話しすると、環境が与える人への影響に興味があって、仕事をしながら豊かな人生を送るにはどんな環境がいいのかを学生の頃から考えていました。
それを確かめるために、前職はベンチャー企業で働いていましたが、「会社の人やビジョン、風土は好きだけど、事業内容が自分には合わないなという感覚がありました。
ただ、「そんな環境のせいにしている自分はダサいな」と思い、それなら自分で自分のポテンシャルを発揮できる環境を作りたい、そして関わってくれる人たちも自分らしさを発揮できるような場所を作りたいと思い、退職しました。
ー なるほど。前職の退職からホステルの開業まで、どんな経緯だったんでしょうか?
退職後は、オンラインサロンなどでコミュニティマネージャーとしてお手伝いをしている中で、今の相方である水口と再会しました。水口とは大学時代から知り合いではあったんですが、会うのは1年半ぶりでした。
その時、彼はゲストハウスをやりながら地域のコミュニティも作りたいという話をしていて、それに共感したのが起業するきっかけです。僕もホステルという形で、関わる人の暮らしが豊かになるコミュニティを作りたいと思い、共同創業することを決めました。
ー “コミュニティ”に対する想いが強いんですね!
そうですね。
コミュニティというか、人が集まる環境やその影響に昔から興味がありました。具体的な話をすると、前職を辞める頃に精神的にしんどい時期があったんですが、その時よくイベントに参加していました。
そこで、新しいことを学んだり色々なバックグラウンドを持った人と仲良くなったりする中で「自分は初対面の人と気持ちよくコミュニケーションをすることが得意かもしれない」と感じることができたんです。そうやって自分の価値を認めることができたおかげで、会社を辞めてもっとチャレンジしてもいいんじゃないかと思えたんです。
つまり、気持ちがマイナスになって力が出なくなった時に、色々な人と関わって自分の価値を感じることや、安心できる環境があるからチャレンジできる、という経験をしたんですね。それって、意外と社内や家族のような近い存在ではなくて、サードプレイスと呼ばれるコミュニティが持つ強みだと気がつきました。
起業すると決めて一番はじめにしたこと
ー 起業すると決めてから、一番はじめに何をしましたか?
最初は考えるところから始めてみましたね。
それこそリーンキャンパスを作ったりしていましたが、結局「分からんな」となりました。それからは、実際に試していくために週1でバー営業をしたり、地域の人と関わったりなど、開業後にしたいと思っていることを小さく始めてみました。
その中で「こういうのがいいな、ここはこうした方がいいな」と、開業後のイメージを具体的なものにしていきました。なので、起業すると決めて一番初めにしたことは、「色々考えたけどわからないから、やってみた」ということです笑
スタカフェ大阪を利用したきっかけ
ー スタートアップカフェ大阪を利用したきっかけはなんでしたか?
週1でやっていたバーに来てくれてた人が、スタカフェ大阪のコーディネーター(相談役)の方を紹介してくれたのがきっかけです。
そこで、スタカフェ大阪で起業相談ができることを知り、昨年のクラウドファンディング前には結構相談していました。そのおかげで、クラファンも176万で達成することができました。
スタカフェ大阪のいいところ?
ー 張本さんは今でもちょくちょく来てくださっていますが、スタカフェ大阪のいいところって何だと思いますか?
最初はびっくりしました。
無料でこんなに相談に乗ってくれて、的確なアイデアを出してくれるんだ!と。
しかも、マウンティングを取られないことはよかったです。起業相談するとなると、上から目線の意見をされるかもしれない、できてないところをばかり指摘されそうなどの不安があったんですが、すごく優しくて衝撃でした。覚悟して相談に行ったら「あれ?」となるほど優しい人でした。
あとは、事業単位ではなく、クラウドファンディングなどのプロジェクト単位でも相談に乗ってもらえのはありがたいところですね。
今後の展望
ー 事業において、今後の展望を聞かせていただきたいです。
僕がメインで担当しているカフェ&バーとイベントの2つコミュニティ分野の事業では、関わってくれている人たちと豊かになっていきたいという思いがすごくあります。
その中でも、人間関係・働き方・健康の3つのテーマで頑張っていきたいと思っています。人間関係・働き方に対しては今まで意識して場作りしていましたが、健康に取り組むのは初めてですね。
ー 健康、ですか。
僕が働く上で、あまり健康的な生活をしていなかったんですよ。そうすると、日中眠たくなったりしんどくなったりしてしまい、全てのことが面倒臭くなってしまうことってあるじゃないですか。
でもこれって、健康面をちゃんと気遣っていると、改善できるんじゃないのかと思ったんですよね。これが改善できて健康の土台がちゃんとしていれば、仕事面がうまくいかなかったとしても捉え方も変わるだろうし、一歩踏み出すエネルギーも出てくるんじゃないかな、と。
LINDAに来てくれる人には安心感だけではなく、一歩踏み出すきっかけやチャレンジし続けられる土台となるようなコミュニティにしていきたいんです。だからこそ、まずは健康であってほしいし、そこからキャリア面も満足がいく選択をできる人が増えたら良いなと思っています。
ー 長期的な目標に関しても伺いたいです。
大まかな方向性は決めていますが将来をめっちゃ想像して計画を立てることはあまりせず、具体的な到達地点などは置いていないんですよね
関わってくださる方々も自分たちも、日々を心豊かな気持ちで生きられたら、それがLINDA HOSTEL 106の理想の状態です。そのために事業を大きくするかもしれないし、違う事業が生まれるかもしれない。そんな感じです。
リアル裏トーク
ー すみません。スタートアップリアルお馴染みの質問で、みなさんが気になることをズケズケ聞いていきたいのですが、ぶっちゃけ事業に失敗しちゃったらどうしますか?
失敗したとしたら、規模が自分に合ってなかったのかなと思います。
もう一度、小さいところから自分でスタートするか、LINDAと同じような規模で運営しているところに入って学んで、もう一度挑戦します。
就職するとしても全面的にその仕事が役に立つと感じられないと働けないタイプなので、やりたいことであり働きたいと思える風土のところに行きたいですね。
ー 小さいところからスタートというと、具体的にどんなことでしょう?
失敗する原因としては、費用が大きい一方売上が立たずに釣り合っていないパターンがほとんどだと思います。なので、小さなところで費用を下げてやっていく可能性がありますね。
ただ、おそらく同じ規模で環境づくりに関われる会社に入るかなと思います。そこで修行して、学んで、もう一度挑戦したいです。
これから起業する方へメッセージ
ー さいごに10代、20代でこれから起業を目指す人に向けて何か伝えたいことはありますか?
こういう質問に対して、これしか言えないのですが、「やってみること」が本当に大切ですよね。
小さくでもいいからやってみたら、「こうなるかもしれない」と想像していたことではなく、「こう言われた、こういう反応だった」という事実が湧いてくるし、難しいところも全部見えてきます。
頭が良すぎると、ある程度想像で補えるかもしれないですが、それをやってみて得られたものだけが事実なので、それを積み重ねていった方が納得度も高く必要なスキルもついてくる。だからこそ、「やってみる」の初速が大切だなと思います。
ー やってみよう!ということですね。貴重なお時間ありがとうございました。
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【スタートアップカフェ大阪コミュニティリーダー】普段は株式会社ブイクックやNPO法人日本ヴィーガンコミュニティを運営し、ヴィーガンが暮らしやすい社会作りをしています。関西の若手起業家の方々が楽しく関われる場所にできるよう頑張ります!
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