価格ってどうやって決めたらいいの? 価格設定を大解剖!! | スタートアップカフェ大阪

起業コラム

2020.09.25

価格設定

価格ってどうやって決めたらいいの? 価格設定を大解剖!!

こんにちは!

スタートアップカフェ大阪コーディネーターの伊藤です。

 

今日は、事業をしようと思う人なら誰もが一度は悩む『価格』について書いていこうと思います。

とは言え、価格戦略は本当に多様で市場環境や内部事情など様々な要因が絡み合って決まるものなので、

本記事では参考になりそうな考え方を紹介していきます。

ここで取り上げている考え方が常に正解というわけではありませんし、これ以外の価格決定方法が無いというわけでもないので『価格設定の入門編』としてお楽しみいただければと思います。

 

自分がこれからやろうと思っている事業、あるいはやっている事業で提供する製品・サービスを考えるにあたって少しでも参考になれば幸いです。

 

『値付け』の難しさ

価格設定はなぜ難しいのでしょうか?

価格設定を考えるにあたって、まずはじめに価格決定に関わる様々な要因を見てみましょう。

提供価値

→一番の基本はこれです。価値を提供して、対価として金銭をいただくのが商売なので、どのような価値を提供しているかが価格設定を考える上での一番の基準となります。

経営状況

→仕入先の変更に伴う原価率の変動などによっても価格変更が発生する場合があります。また、資金状況によって例えば一時的に価格を下げて顧客獲得のための投資ができる/できない、など取れる価格戦略も変わります。

競合の存在

→価格を決めるにあたってのもう一つ気にしなければならない問題です。消費者は”相場”というものを強く意識しているので、比較対象となるサービス・製品の価格設定との関係は切るに切れないものになります。

顧客心理

→「今月はボーナスだから今日の夜ご飯はちょっと奮発しちゃおう」「さっき読んでいた雑誌に書いてあった商品が目の前に!ちょっと高いけど偶然の出会いだし、買っちゃおう」など状況に応じた顧客の心理状態も購買を左右する大きな要因です。

社会情勢や景気などの比較的なマクロな環境要因

→外部環境の変化により、顧客の置かれている状況、ひいてはお財布事情も変わってくるため価格設定の変更を余儀なくされる場合があります。

 

一番最後の項目だけは自分たちでコントロールできるものではないので、以降はそれ以外の4つの項目に関係する値付けの考え方を見ていきましょう。

 

提供価値 – 売っている商品の価値を知る

あなたの売っている商品は、消費者に対してどんな価値をもたらしますか?

例えばカフェで購入するコーヒーは、あなたにおいしいコーヒーを飲める、という価値だけを提供しているのでしょうか?

 

現代では、多くの商品が複合的な価値を伴って消費者に届けられることが一般的です。

先ほどの例で挙げたカフェのコーヒーは、

・おいしいコーヒーを飲めるという体験

・ゆっくり読書や作業に没頭できる空間

・おしゃれなカフェにいることによる自己肯定感の向上

などなど、様々な価値を顧客に提供しているはずです。

 

価格決定をするにあたっては、自分たちの商品が顧客に対してどのような価値を届けているのか、それを分解して認識しておくことが大切になります。

そして、価値の分解ができたらそれぞれの価値ごとに値段をつけてみましょう。

この作業は大変かと思いますが、間違っていたら後々修正をしていけば良いので思い切って値段をつけてしまいましょう。

価値ごとのおおよその値段を把握しておくことで、

・カフェのリニューアルを行ったので空間の価値が向上した→じゃあ◯◯円値上げしよう

・コーヒー豆の仕入先が変わって味が良くなった→じゃあ△△円値上げしよう

などその後の価格決定がしやすくなるとともに、商品全体の価格決定に矛盾が起こりづらくなります

 

価値ごとの値付け作業をする時には、競合との比較も有用になるかと思います。

こちらは提供価値ごとの5段階評価と、提供しているコーヒー1杯の値段を表にしたものです。

A社・B社の数値から、

コーヒーの味:一つあたり40円

空間の価値:一つあたり45円

ブランドイメージ:一つあたり30円

のように価値ごとの金額を算出することができます。

(A社: 40 x 4 + 45 x 2 + 30 x 1 = 280 / B社:40 x 2 + 45 x 4 + 30 x 2 = 320)

 

上記の個別価値ごとの単価を踏まえると、

自社のコーヒーの値段は40 x 3 + 45 x 4 + 30 x 4 = 420円と競合と比較すると少しハイエンドな売り出し方をするのが妥当と言えそうです。

 

経営状況 – 最低価格を知る

価格設定を考えるにあたって、もう一つ知っておかなければならないのが最低価格です。

これを知っていることで、例えば「市場開拓のために割引キャンペーンを実施する」というような場面でどこまでの値引きが可能かの判断が簡単になります。

 

最低価格を知るには『固定費』と『変動費』を分けて考える必要があります。

固定費は、販売数量によらずかかってくる費用。例えば、商品を流通させるのにかかるマーケティング費用や、オンラインで販売できるものならシステム維持費などです。

変動費は、販売数量によって増減する費用です。こちらは、いわゆる原価で製造業なら原材料費などがこれに当たります。

 

固定費がない場合は簡単で、最低価格=商品1個あたりにかかってくる変動費になります。

ただ、現実的には固定費がないビジネスはほとんど存在しないので実際にはもう少しややこしくなります。

何がややこしいかというと、固定費が含まれる場合には商品1個あたりの最低価格がトータルの販売数によって変動してくるという点です。

下記の表をご覧いただければ、どういうことかが理解しやすいかと思います。

1個あたりの価格
販売数 = 100個/年 販売数 = 1000個/年 販売数 = 10000個/年
固定費(年間)100万円 10,000円 1,000円 100円
変動費(1個あたり)100円 100円 100円 100円
最低価格(1個あたり) 10,100円 1,100円 200円

 

こちらは売り切り型のビジネスの場合で、サブスクリプション型の場合は更にここに顧客の生涯価値などを考慮する必要が出てきます。

 

商品の最低価格は、発生する費用の把握と販売計画とのセットで決まるということを覚えておいてください!

競合の存在 – 比較対象をコントロールする

消費者は何かを購入する時に、それまでの経験からなんとなくの基準価格を持っています。

例えば、スーパーの鶏肉は100gあたり45-60円くらい、とかバスの運賃は(そんなに長く乗らなければ)200-500円くらい、とかですね。

スーパーに行った時に鶏肉が100g70円で売られていたら今日は買わなくても良いかな、とか100g40円で売られていたら即買いだ!というふうに基準価格との比較で購買意欲が左右されるのは皆さんも想像がつきやすいかと思います。

 

それだけだと価格設定は既存の相場の範囲内で設定するだけの面白みのないものになってしまいますが、

比較対象をコントロールすることで価格帯を変更することができる、というのがここでお伝えしたいことになります。

 

またコーヒーの例に戻りますが、一口にコーヒーと言っても

・スーパーで買って家で飲むコーヒーは1杯数十円

・カフェで飲むコーヒーは1杯250-450円

・ホテルなどの喫茶店で飲むコーヒーは1杯800-1,000円

というように売られる状況によって基準価格は大きく変動します。

 

これを利用して、例えばスーパーで売るコーヒーでも【ホテルコーヒー】のような商品名(安直ですが…)でパッケージも豪華なものにして、という工夫をすることで1杯数十円の価格帯から抜け出して1杯100円くらいでもきちんと売れる、という状況を作り出すことが可能なわけです。

 

このように、同じ商品でも複数の価格帯が存在していることはよくあるので

どの価格帯のものを比較対象とするか、

いかに顧客に自分たちが意図した価格帯に見合っていると思わせられるか、

が大事なポイントとなります。

言い換えると、これは商品のブランディング戦略とも言えるかもしれませんね。

 

顧客心理 – 顧客のセグメンテーション

先ほどの項目で見たように、一つの商品をとっても複数の価格帯が存在する事例は世の中に広く存在します。

先ほどはそれを競合との関係性から読み解いていきましたが、この項目では顧客の方に焦点を当てて考えてみましょう。

 

例えば、

夜ごはんを外で食べる時に毎回だいたい1,500円を使っている人がいるとします。

そうするとお店を探す時も基本的には1,000~2,000円くらいの予算でお店を探しますよね?

 

でも、そんな人でも「ボーナス月」には3,000~5,000円くらい払うかもしれません。

それを踏まえると、夏と冬のボーナス月には『ちょっと贅沢プラン』として4,500円のコースを出してみるのはどうでしょうか?

 

顧客一人一人は基本的には自分の中での価格基準を持っていますが、このように心理状態を把握してうまく打ち出すことで普段とは違う価格帯の商品でも購買してもらえる可能性があります。

 

また顧客心理を的確に捉えて生かすことを考える場合には、

『自分がつい財布の紐を緩めてしまったな』という瞬間を記憶しておいて、どういう状況や心理状態がそうさせたのかを把握しておくと自分たちの販売戦略を考える際の大きな財産になるかもです!

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はかなりボリューミーな記事になりましたが、最初から全部を考慮して価格決定をしようとすると身動きが取れなくなってしまうと思います。

価格決定にはこういった複雑な要因が絡んでいることを知り、事業をやっていく中で少しずつ多くの要素を取り込んで価格決定ができるようになっていけば良いのかなと思っています!

 

読んでみたけど、やっぱり複雑でどこから考え始めたら良いか分からない、という方は

ぜひスタートアップカフェ大阪の起業相談にお越しください!

 

価格設定以外にも、様々な相談に応じているのでこちらの記事もぜひ参考にしてみてくださいね。

それでは!

相談したい方のお問い合わせ先

相談予約はこちらから

※ 電話の受付時間は12:00から21:00です。(土日祝も営業)

ジャーナル一覧へ戻る

新着記事

カテゴリー

タグ

相談予約